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「君が代か…。歌いたくないなあ。」
思った通りの反応だった。
君が代を音楽として聴かせるものにする秘策を考えた私は、地元では有名な、Kさんに相談した。
Kさんは、太鼓のグループ、合唱団のグループを従え、沢山のグループと交流があり、大きなホールを満員にし、舞台での出し物すべてを中心になって引っ張るオールマイティーでカリスマ性のある芸能人だ。とうに70は超えているが、大きな会社で最後まで会社員として勤め上げ、働きながら芸能活動に勤しんできている。60歳の時には大きな還暦コンサートを行い、そのDVDをドンに借りてみたことがある。沢山の人に芸能の楽しさを味わわせるというのが彼の宿命のように見える。
つい三日ほど前に、私の団地の障害者施設の野外発表会で、一人で奮闘する姿を見たばかりだ。
何をやっても着実にこなす方だが、今回は合唱団のリーダーという部分で、助けてもらいたいというのが私の交渉内容だ。昨日勇気を出して電話でアポイントをとっている。
前回満員の彼の太鼓グループのコンサートで、公演終了後に人が減るのをまって、仮チラシを渡した時に「何かいっしょにできるといいですね。」と言ってもらったのを頼りにしている。その時のチラシのことを、電話で「ここに貼ってますよ」といってくれていた。
合唱団の練習が終わるまで、入口のベンチで待っている私は今までで一番途方に暮れた気持だった。コンサートでの一つ一つの作品はこじんまりしていて、どれもがパンチにかけるので助けがほしい。しかし、人に手伝ってもらうからには、そのグループの単独の見せ場を作る必要があるだろう。しかし今回、プログラムはぎっしりで、頼むのはただ、3つほどの出し物でコーラスを入れてもらいたいという要望だ。
また、この件に関し、ドンは「Kさんは無理だよ、」と一蹴した。歌ってくれと頼む曲は、ドンでも引いている君が代である。Kさんはまさに君が代を好きだとは思えないタイプの方なのだ。
練習が終わり、稽古場からは予想以上の沢山のかなり年配の方が多い合唱団メンバーが帰ってゆく。私は全身から出そうになる居心地悪いオーラを、深呼吸で吹き払いながら待っている。
Kさんが出てきた。
「あら、そうだったね。打ち合わせしましょう。」
私は企画をはなし、「君が代」という言葉をなるべく出さないようにして、私が稽古場でこつこつ一人で録音した5重合唱を聴かせた。
黙って聞いてくれた。
「なんで、歌うの?」
「オリンピックでコンサートするなら、歌いたいという夢なので。私はオリンピックで金メダルを取る能力はないですが…。」
「歌で金メダルをね。」
なんでもにこやかに聴いてくれる。
君が代は歌いたくないなあ、と表明した上、かつ、他のプログラムがぎっしりでグループの演目を入れる隙がないということも、気になったようだがそれは当然である。他の演目として観客と一緒に日本語と英語で歌う演目と、最後のカーテンコールのハッピーのコーラスをお願いした。どれも歌い手に困っているというこちらの都合だ。
私的には、どれもうまくやれば、面白いものになると思うので、そのためには演者がのびのびとやれるように口を出さずに任せていかなくてはいけないと考えている。なにせ相手はKさんである。
「わかりました。検討して連絡します。」
有能な会社員のように、スマートに立ち去って行った。
こちらは神頼みのような気持だった。よく勇気を出してやった、と自分をほめてみる。人事を尽くして天命を待つ。かな?
思った通りの反応だった。
君が代を音楽として聴かせるものにする秘策を考えた私は、地元では有名な、Kさんに相談した。
Kさんは、太鼓のグループ、合唱団のグループを従え、沢山のグループと交流があり、大きなホールを満員にし、舞台での出し物すべてを中心になって引っ張るオールマイティーでカリスマ性のある芸能人だ。とうに70は超えているが、大きな会社で最後まで会社員として勤め上げ、働きながら芸能活動に勤しんできている。60歳の時には大きな還暦コンサートを行い、そのDVDをドンに借りてみたことがある。沢山の人に芸能の楽しさを味わわせるというのが彼の宿命のように見える。
つい三日ほど前に、私の団地の障害者施設の野外発表会で、一人で奮闘する姿を見たばかりだ。
何をやっても着実にこなす方だが、今回は合唱団のリーダーという部分で、助けてもらいたいというのが私の交渉内容だ。昨日勇気を出して電話でアポイントをとっている。
前回満員の彼の太鼓グループのコンサートで、公演終了後に人が減るのをまって、仮チラシを渡した時に「何かいっしょにできるといいですね。」と言ってもらったのを頼りにしている。その時のチラシのことを、電話で「ここに貼ってますよ」といってくれていた。
合唱団の練習が終わるまで、入口のベンチで待っている私は今までで一番途方に暮れた気持だった。コンサートでの一つ一つの作品はこじんまりしていて、どれもがパンチにかけるので助けがほしい。しかし、人に手伝ってもらうからには、そのグループの単独の見せ場を作る必要があるだろう。しかし今回、プログラムはぎっしりで、頼むのはただ、3つほどの出し物でコーラスを入れてもらいたいという要望だ。
また、この件に関し、ドンは「Kさんは無理だよ、」と一蹴した。歌ってくれと頼む曲は、ドンでも引いている君が代である。Kさんはまさに君が代を好きだとは思えないタイプの方なのだ。
練習が終わり、稽古場からは予想以上の沢山のかなり年配の方が多い合唱団メンバーが帰ってゆく。私は全身から出そうになる居心地悪いオーラを、深呼吸で吹き払いながら待っている。
Kさんが出てきた。
「あら、そうだったね。打ち合わせしましょう。」
私は企画をはなし、「君が代」という言葉をなるべく出さないようにして、私が稽古場でこつこつ一人で録音した5重合唱を聴かせた。
黙って聞いてくれた。
「なんで、歌うの?」
「オリンピックでコンサートするなら、歌いたいという夢なので。私はオリンピックで金メダルを取る能力はないですが…。」
「歌で金メダルをね。」
なんでもにこやかに聴いてくれる。
君が代は歌いたくないなあ、と表明した上、かつ、他のプログラムがぎっしりでグループの演目を入れる隙がないということも、気になったようだがそれは当然である。他の演目として観客と一緒に日本語と英語で歌う演目と、最後のカーテンコールのハッピーのコーラスをお願いした。どれも歌い手に困っているというこちらの都合だ。
私的には、どれもうまくやれば、面白いものになると思うので、そのためには演者がのびのびとやれるように口を出さずに任せていかなくてはいけないと考えている。なにせ相手はKさんである。
「わかりました。検討して連絡します。」
有能な会社員のように、スマートに立ち去って行った。
こちらは神頼みのような気持だった。よく勇気を出してやった、と自分をほめてみる。人事を尽くして天命を待つ。かな?
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